僕のFP試験合格記

AFP提案書サンプル例(その2)

[P11〜P14]問題解決の為の対策

具体的な例として、100万円(現在お支払金額137,610円の7.26回分)の繰り上げ返済をご説明いたします。


現時点(平成17年12月末時点)の元金残高28,273,095円から100万円を減じた金額(27,273,095円)が借入金(元金)残高ということになります。ということは、別記資料の37回目あたり支払まで終わったということになり、残りの支払回数が263回(300回−37回目)となります。


本来なら返済期間25年でお借りになっているこの住宅ローンであれば、お支払から2年間を経過した今現在から23年間のお支払を続けなければならないところですが、「100万円の繰上げ返済」をすることで、残りの返済期間は21年余りとなります。と言うことは、支払われた100万円を月々の返済額137,610円で除した場合、「7.2回分」になりますがので、7ヶ月分のお支払いをした事実に対して13か月分ぐらいの支払い効果となっており、同じ金額を支払うのにもかかわらず支払い期間を短縮することが可能なのです。


さらに、この時期に100万円を繰り上げ返済することにより、本来300回の返済においてお支払をするはずであった利息合計金額1,130万円から81万円(25回目から37回目までの支払利息合計)あまりのお支払い金額が減る事になります。


つまり、「住宅ローンの繰上げ返済」を上手く活用すれば、お支払返済時期を短縮できる上に利息返済分を圧縮できることになります。

伊藤様の場合は、特に今の時期の利息支払予定金額が非常に高いだけに、もっともその効果を感じる事が可能と考えます。


現実的には、平成18年のイベントとしまして車の買い換え費用180万円などがあり、本年の収支は和男様の可処分所得660万円に対して諸々の支出が805万円有りますので、金融資産558万円から145万円を引き出さなくてはなりません。


さらに伊藤様ご家族に万が一のことを考えて、いざという時の資金として100万円を貯金残高に残しておかなくてはなりませんので、「住宅ローンの繰上げ返済」の第一段階として実際に使用できる金額は313万円(558万−145万円−100万円)です。


313万円の元金部分を減額させるということは、現段階の借入金残高約2,827万から313万円を減じた2,514万円がその額となります。


別記資料で元金残高2,514万円を検索しますと、64回目あたりになります。ということは、3年と4回分(合計40回)の期間を短縮する事が出来ますので、伊藤様が63歳の頃に現在のマンションがすべて伊藤様ご自身の完全な財産となります。


お支払予定であったお利息については、これも別記資料の25回目からのお利息支払金額から64回目までのそれを加えていただきますと、約241万円を圧縮する事ができるのです。


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さらに、伊藤様におかれましてはすさまじいことに、第二段階として本年から6年目に到来する「退職一時金」を活用しますと、その効果は絶大なものになります。繰り上げ返済第一段階で圧縮をした64回目からが現時点のお支払い回数時になりますので、今より6年間(支払回数72回)そのまま137,610円の返済をお続けなられた場合、支払回数は136回目あたりになります。


その頃の元金残高は約1,885万円あまりであり、「退職一時金」として受給するであろう1,968万円ですべての残債を返済してしまったとしても80万円ほどの余りが有ります。


お利息支払圧縮額は約375万となり、「第一次繰上げ返済」で圧縮した241万円を加えますと、実に616万円が生きたお金として返ってくる事になります。


さらに、伊藤様が本来住宅費として納めていた年額165万円を貯蓄にまわせば、仮に定年を迎えるまでお続けななされたとすれば、およそ1,400万円を定年後のお金として残す事が可能になります。

住宅ローンの繰り上げ返済にかかる手数料はそんなに高いものではなく、借入期間が短縮できた分の団体信用生命保険からの戻り分で十分おつりがでるはずです。


住宅ローンの繰り上げを第一時期、第二時期にわけて途中で完済してしまえば、本来なら伊藤様が66歳までお支払になる期間を12年も短縮する事が出来、資金的効果としてもお利息支払予定金額を616万円減額する上に、定年を迎えるまでに1,400万円の貯蓄増加を可能にすることができる事になります。


5-2 「生命保険の見直し」

和男様が万一の場合の必要保障額は、約3,000万円と見積もられます。住宅ローンについては、借入時に団体信用生命保険に加入していらっしゃいますので、それで相殺されます。

現在加入の定期保険の保障額は5,000万円ですが、過剰である2,000万円の定期保険の減額をご提案します。

保障額を5,000万円から2,000万円を減額した場合の計算は、
現在の保険料25,000円×2,000万円(減額幅)÷5,000万円(現保障額)=10,000円 月々の保険料は10,000円ですので、現在のお支払保険料から年間で12万円の減額となり、その分を貯蓄にまわすことも可能です。


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和男様が万が一の場合の必要になる資金を説明します。


1、ご遺族様が生活するうえで必要なる資金の算出。

紀子様が独立(就職)なさるまでの家族の生活費
312万円×70%×14年=3,058万円
紀子様独立後の裕子様の生活費
312万円×50%×33年(※1)=5,148万円
武様と紀子様の教育費
武様860万円+紀子様950万円=1,810万円
上記合計金額10,816万円


※1 夕子様の紀子様独立時の平均余命から試算(54歳の女性)


2、すでに準備が出来ている受給できる予定のお金。
  1. 夕子様が受け取る事ができる公的年金(平成17年度価格で試算)
    遺族基礎年金(夕子様現在年齢39歳から紀子様が18歳になられるまで)
    (125万円×7年)+(102万円×3年)=875万円+306万円=1,181万円
    中高齢寡婦加算(紀子様が18歳になられたあと夕子様が65歳を迎えられるまで)
    60万円×15年=900万円
    夕子様の老齢基礎年金(夕子様65歳以降86歳までで試算)※2
    73万円×21年=1,533万円
    遺族厚生年金(夕子様現在年齢39歳から86歳までで試算)※2
    56万円×47年(※2)=2,632万円
    上記金額をすべて加算すると、6,246万円。
  2. 死亡退職金 500万円
  3. 学資保険の満期金 600万円
  4. 金融遺産 558万円

1,2,3,4の合計が、7,904万円


3、備えとして必要になる資金。

10,816万円7,904万円2,912万円


5−3 「別荘所得に向けて」

見直し前のキャッシュフロー表では、退職時に別荘購入後の予想貯蓄額は1,707万円であり、夢の別荘購入は可能のようにもみえます。しかし、その後公的年金が受給可能になるまで無収入の期間があり、貯蓄残高は激減します。また、退職金や年金の額はあくまでも予想であり、確定したものでは有りません。

以上の事を考慮しますと、住宅ローンと生命保険を見直した上で車の買い換え期間の見直しをして、さらに奥様のパート就労をご提案します。

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5−4 「車購入の見直し」

平成18年から5年に一度の車の買い換えを、7年に一度に見直しする事を提案します。


当初のご計画では、平成18年より5年おきに買い換えるご予定では有りますが、計画通りであれば、和男様が70歳を迎えるまでに計6回、総額1,240万円の出費となります。

この5年に一度の買い換えを7年に一度に見直せば、和男様が70歳を迎えられるまでに4回、総購入代金を802万円にすることができます。


つまり、車の買い換えを2年間我慢する事が出来れば、同じ25年くらいの期間で438万円を圧縮する事が可能になります。


中古車を買い換える際の相場は、3年車検を過ぎれば、5年物も7年物も下取り価格はほぼ同じ水準ですので、和男様さえお気持ちを切り替えていただく事が出来れば、ご家族の将来の安心を買うことが出来るのではないでしょうか。



5−4 「奥様のパート就労について」

奥様は働き始めても良い、とお考えになっているとの事ですが、下のお子様がお嬢様ということを考えますと、せめて紀子様が小学校を卒業されるまではおうちにおられたほうが良いのではないでしょうか。


治安の比較的良かったひと昔前を考えますと、毎日のように新聞紙上に掲載されてくるお子様の事件には胸が痛みます。


学校に出る時には「行って来ます。」「行ってらっしゃい。」、ご帰宅為された時には「ただいま。」「お帰りなさい。」と普通に挨拶が出来るご家庭がどんなに素晴らしいかは、賢明な伊藤様ご夫婦であればおわかりになることと思います。


紀子様が中学に上がられても、朝と夕方は奥様がお母様としてご家庭を見守る事をお勧めします。 午前10時ごろから昼の2時ぐらいまでのパートは限られる事になるかもしれませんが、それでもクリーニング店さんや本屋さんなど探せばあるようです。


時給が850円くらいとしましても、1日に4時間、平日3日から4日の働きで月に15日は働けますので、月のパート収入は5万円を下回ることは無いでしょう。(年間60万円)


紀子様が中学に入学なされてからご主人和男様が定年を迎えるまで12年間有りますので、単純計算で720万円ほどの資産を作る事も可能です。


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